プロシクリカリティ
Procyclicality
証拠金モデルが市場のボラティリティ急上昇局面で過度に証拠金を引き上げ、流動性需要をさらに増幅させてしまう性質。自動ロスカットにも同じ構造があり、価格の下落が複数の口座をロスカット水準に到達させ、機械的な売却がさらに価格を下げて別の口座のロスカットを呼ぶというフィードバックが生じ得る。ESRBの2020年6月の報告書は、2020年3月の証拠金急増の背景の一つとしてモデルのプロシクリカリティを挙げている。
The tendency of a margin model to raise margin excessively when market volatility spikes, further amplifying the demand for liquidity. Auto-liquidation carries the same structure: a price decline can push multiple accounts to their loss-cut level at once, and the resulting mechanical selling can push the price down further and trigger loss-cuts on other accounts, in a feedback loop. ESRB's June 2020 report cited model procyclicality as one factor behind the March 2020 margin surge.
証拠金は市場を守る安全装置ですが、問うべきは「想定が甘かった」という事後の批判ではなく、想定を超えた瞬間に何が起きる設計になっていたか、という構造の側です。引き上げられた額が効くのは、担保の量だけではありません。レバレッジの掛かったポジションには手仕舞いの圧力として働き、支払いのために資産を売れば価格はさらに動いて、新たな評価損と請求を生みます。見落とされやすいのは、証拠金の仕組みが危機の単独の原因ではなく、増幅の経路だという点です。レバレッジの積み上がりのような脆弱性と、この増幅経路とが揃って初めて、危機は臨界点を超えます。評価損がその先で何を引き起こすかは、モデルの外側に置かれています。
- 正式名称
- Procyclicality
- 別表記
- 順循環性
- 分類
- リスク管理・破綻処理
- 関連語
- APT、Auto-liquidation、Loss-Cut Level、IM、VM
- この語を扱った稿
- 自動ロスカットはFCMを代替できるのか――レバレッジ型ダイレクト・クリアリングの限界、証拠金はどこまで予測できるのか――国際指針が求めるシミュレーターと透明性
この語はクリアリング用語集の一項目です。柳沢 俊『デリバティブ・クリアリングのすべて』(M∀NUS PRESS)には無く、公開している稿のために足した語です。 This term is an entry in the Clearing Glossary. It is not in the first edition of Shun Yanagisawa's book (M∀NUS PRESS) and was added for a published piece.
英語の説明は、日本語の定義に合わせてこの用語集のために起こしました。The English definition was written for this glossary to match the Japanese one.
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