当初証拠金
IM — Initial Margin
新規ポジションの建てや維持に際して差し入れる「将来の潜在的損失」に備える証拠金。MPOR(リスク期間)内に想定される最大損失を、統計モデル(SPAN®、VaR、ES、SIMMなど)に基づき一定の信頼水準でカバーするよう算出される。通常、デリバティブ取引では取引の両サイドがIMを差し入れる。
Margin posted when opening or maintaining a new position to cover potential future losses. It is calculated, using statistical models (SPAN®, VaR, ES, SIMM, and others), to cover the maximum loss expected over the MPOR (margin period of risk) at a given confidence level. In derivatives transactions, both sides of a trade typically post IM.
当初証拠金は、所定の掛け目や係数を当てはめれば機械的に出てくる数字と受け止められがちです。しかしその背後には、「このポジションを市場で処分するのに何日かかるか」という見立てが置かれています。標準化され流動性のある先物は取引所での反対売買で比較的速やかに解消できる一方、想定元本や固定金利、利払日が取引ごとに異なる店頭デリバティブは、値付けにも引き受け手を探すのにも時間を要します。上場か店頭か、中央清算の内か外かによって、想定期間には最大10倍の開きが生じます。モデルは、こうして決められた期間のリスクを数値化する道具です。日数はモデル計算に先立つ前提として設定されるため、IMの水準は単なる客観的な測定値ではなく、清算機関の見立ての「宣言」でもあります。前提やパラメータが変われば所要額も動き、参加者の担保需要を直接左右します。
- 正式名称
- Initial Margin
- 別表記
- イニシャル・マージン
- 分類
- 証拠金
- 関連語
- VM、MPOR、SPAN®、SIMM、Position、Margin Maintenance Ratio、Procyclicality
- この語を扱った稿
- クリアリング・ブローカーは何をファイナンスしているのか:日中マージン・コールと「時間差の信用」、日本の店頭FXは、リテール直接清算の先例になるのか――ロスカット運用と損失負担の違い、証拠金はどこまで予測できるのか――国際指針が求めるシミュレーターと透明性
この語はクリアリング用語集の一項目です。柳沢 俊『デリバティブ・クリアリングのすべて』(M∀NUS PRESS)初版の巻末用語集にある語です。 This term is an entry in the Clearing Glossary. It appears in the glossary at the back of the first edition of Shun Yanagisawa's book (M∀NUS PRESS).
英語の説明は同書の英語版の巻末用語集から採りました。The English definition is drawn from the glossary at the back of the English edition.
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